このページの最終更新日:2005年5月11日
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しぜんし質問箱・動物編

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今までのしつもん

・「福井城のお堀の魚の名前」
・「口をあけたバカガイ」
・「ふたのあるカタツムリ」
・「熱帯魚の餌に使われている線虫」
・「庭にヒルのような謎の生物」
・「カワニナの繁殖について」
・「デートするミミズ」
・「シャミセンガイはどうして軟体動物ではないの?」
・「カマキリに擬態したクモ?」

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「福井城のお堀の魚の名前」・・・千葉県柏市の近藤英明さんの質問

 福井市出身のものですが、現在千葉県の住んでいます。福井城のお堀にタナゴはいるのでしょうか? また、子供のころ(昭和28年前後)良くお堀に魚釣りに行きましたが、そのときフナと一緒に小型の細い(長さ3〜5cm)魚がつれました。すぐ死んでしまう弱いさかなで、たしか「ベンダ」といって馬鹿にしていました。浮きの引き方はフナはちょんちょんと上下にひきますが、この魚は引っ張るように引きました。図鑑をみてもわからないので名前を教えてください。まだお堀にいれば懐かしいです。(2003年2月27日)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 福井城のお堀の魚種ですが、1982年7月にお堀の改修(ヘドロの除去など)をした際、当館が生物相調査をかねて標本採集をしました。その標本リストによると、魚類では、オイカワ、タビラ、ナマズ、カワムツ、モツゴ、チチブ、ギンブナなどが標本として残っています。また、標本はありませんが、ライギョなどもいたようです。

 タナゴがいるかどうか、というご質問に対しては、少なくとも82年以前はタビラがいた、ということになります。また、「小型の細い」魚となると、上記リストではモツゴ、チチブなどにあたるのかもしれません。ただ、私はあまり釣りの経験がなく、モツゴやチチブが釣り上げるとすぐ死んでしまうものなのか、あるいは引きが引っ張るような感じなのか、についてはわかりません。

 最近のお堀の魚類相については、残念ながらデータがありません。82年の改修以降、魚類相が変わったのでは、という人もいます。機会があればぜひ調べたいと思います。

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「口をあけたバカガイ」・・・三重県津市の鹿野さんの質問

 津の海岸でバカガイらしきものがいっぱいいました。バカガイは、いつもこんなふうに口をあけてだらしなくしているのでしょうか。それとも、単に死にかけているのでしょうか?(2003年4月18日)

口をあけたバカガイ
口をあけたバカガイ(鹿野さん提供)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 どうやら、バカガイは水から揚げられるとだらしなく殻を開くようです。でろりんと斧足の出ているようすがまるで馬鹿が舌を出してるように見えるので、バカガイという名前がついたという説もあるようです。だもんで、たぶん死にかけてるわけではないと思います。あと、水中では写真ほどには開いてないんじゃないかと思います(それでも、ハマグリなんかよりは開いていることが多いようです)。
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「ふたのあるカタツムリ」・・・沖縄県宜野湾市の久仁太郎さんの質問

 近所の人が捕まえたのですが、タニシのような蓋の有るカタツムリです、始めて見たのですが新種なのでしょうか、それとも一般的なものなのでしょうか、教えて下さい。(2003年5月29日)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 陸にすむ貝のほとんどは、有肺類という仲間で、確かにふたがありません。いわゆるカタツムリはこれに含まれます。しかしながら、海のサザエや田んぼのタニシなどに近い仲間で、陸にすむ貝もいます。ヤマキサゴ、ヤマタニシ、ムシオイガイ、アズキガイ、ゴマガイといった仲間です。これらはふたを持っています。

 写真を拝見したいところですが、見つけやすさとお住まいの場所からすると、おそらくオキナワヤマタニシではないでしょうか。落ち葉の下などをさがせば普通にみられる種類だと思います。以下のページの写真のような貝です。

http://www.bigai.ne.jp/pic_book/data10/r000921.html

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「熱帯魚の餌に使われている線虫」・・・福井市のY.M.さんの質問

 一部の熱帯魚愛好家の間で、稚魚用の餌として培養されている通称「マイクロワーム」という線虫があります。この線虫の種名や生態(人間に感染・寄生するようなことはないか、等)について教えてください。(2003年3月2日)

線虫の顕微鏡写真
線虫の顕微鏡写真(博物館にて撮影・クリックで拡大)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 Y.M.さんにお持ち頂いた実物を拝見し、線虫の専門家にも問い合わせました。まず、線虫についてはほぼ完全な同定はむずかしい、ということを前置きした上であえてお答えすると、この線虫の種は学名Panagrellus redivivus(パナグレルス レディヴィヴス)ではないか、と考えられます。海外では古くから愛玩熱帯魚の餌として使われており、近年では水産養殖用の稚魚の餌としても大量培養されつつあるようです。成体のサイズは長さ0.5-2.0mm、太さは直径0.05mmぐらいになります(顕微鏡写真の個体はおそらく成体)。この種は陸上の泥中にすむ自由生活性ですので、ヒトを含む他の動物への寄生の可能性はまずないと考えられます。

 この線虫の本来の生息地についてはまだ調べている途中で、もともと日本にいるものなのか、それとも海外原産のものなのかはわかりません(ご存知の方がいれば教えてください...)。もしY.M.さんが培養されているものが海外産だとすると、それが日本の野外に定着してしまうのは問題があります。ブラックバスなどで問題になっているように、線虫の移入種も生態系に影響を与えないとは言い切れません。仮に世界中の自然界に生息する種であったとしても、培養されている個体群が遺伝子レベルでみると日本にはいない系統という可能性もありえます。したがって、培養された線虫は、野外に流出しないよう管理されるのが望ましいかと思います(余った線虫は流しなどに生きたまま流さず、殺してから流すか、燃えるゴミとして処理する、など)。

 もしこのページをご覧の方で、同様の線虫をお持ちの方がいれば、このような処理を徹底されるようにお願いしたいと思います。
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「庭にヒルのような謎の生物」・・・神奈川県横浜市のじいさんの質問

 最近、うちの庭に謎の生物が現れました。見た目は蛇のようなみみずのような・・・ ヒルのようなナメクジのような・・ 全長にして50cmほどかと思われますが、なんとも奇妙な形をしております。平打ち麺に頭(銀杏のような形)をつけたようなものですが、頭部分は吸盤のようになっているようです。ちなみに夜になると現れます。

 この生物が何かわかったら教えて頂けるでしょうか。又、植物、土等に悪影響を与えないか等々、ありったけの情報を頂けるとなおうれしいです。(2003年7月10日)

謎の生物その1 謎の生物その2
庭に謎の生物(じいさん提供・クリックで拡大)



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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 これはコウガイビルという生き物です。生物の実験などで使われるプラナリアの仲間で、扁形動物と呼ばれるグループです。ヒルという名前がついていますが、血を吸うヒル(環形動物)とは全く異なる種類です。主に肉食(カタツムリなどを食べる)ですので、植物に直接影響を与えることはまずありません。

 写真はおそらくオオミスジコウガイビルという種で、もともと日本にいなかった移入種です。本州・四国・九州などにすでに定着しています。都市部でよくみられるようですが、在来生態系にどのような影響を与えているかについては、まだ調べられていないようです。

参考文献:川勝正治・布村昇 (1997) 扁形動物渦虫綱、日本動物大百科7無脊椎動物、pp.50-51、平凡社、1997年


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「カワニナの繁殖について」・・・京都府京田辺市のたかじさんの質問

 カワニナとメダカと金魚(小金)を飼っていますが、カワニナが気がつけば増えています。一体どのようにして増えていくのでしょうか?(2003年7月5日)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 まず、カワニナは雌雄異体で、繁殖に先立って交尾をします。交尾後、メスは稚貝を生みます。他の多くの貝は卵を生みますが、カワニナの場合は卵胎生といって、卵 がメスの体の中でかえり、稚貝になってから外に出てきます。1個体のメスは夏に100以上の稚貝を生むようです。

 貝は卵から稚貝になるまで変態を繰り返し、いくつかの幼生段階を経ます。幼生時は通常プランクトンですので、成体とはたいてい異なる餌を食べます。しかし、カワニナは母親の体の中で変態をすませています。したがって、生まれたばかりのカワニナでも、基本的な生態は大人とほとんど変わりません。そのため、水槽でも繁殖させやすい種だといえるでしょう。

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「デートするミミズ」・・・福井県鯖江市の自然を愛する32才さんの質問

 昔から思っていた事があるので質問させて下さい。数年前、犬の散歩で雨上がりの田んぼ道を歩いている時、ドブミミズ(全長約、20cm)が2匹、平行に同じ方向へ、同じ間隔を維持したまま進んでいました。2匹の間隔は焼く10cm。片方が止まるともう片方も止まり、進み出すと同時に動きだし、まるで2匹がデートでもしてるかのようでした。彼等は目があるのですか?臭いで判断してたのでしょうか?(2003年7月5日)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 ミミズの仲間(貧毛類)は、眼があり、匂いを感じる器官もあります。ただ、彼らの眼はおそらく他個体を認知できるほどの機能をもたないと思います。交尾相手を探す時などは、土の表面についた這い跡の匂いを頼りにするようです。

 観察されたような行動は、相手を認知して同調していたとは考えにくいのでは、と思われます。例えば、地面の乾き具合などに反応して、同じように動いていた、ということかもしれません。ただ、ミミズは行動の研究が進んでおらず、さらに調べる必要はあるかと思います。


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「シャミセンガイはどうして軟体動物ではないの?」・・・宮崎県高鍋町の白木さんの質問

 シャミセンガイは、見かけは貝(軟体動物)なのに、実は貝の仲間じゃなくて触手動物と本にありました。でも、軟体動物の特徴の所には、「からだの外側に硬い殻をもつ」とありました。そしたら、シャミセンガイも貝と同じ軟体動物なのでは?と思ったのですが、なぜ、触手動物なのでしょうか?(2003年8月4日)

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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

 動物はおもに体の構造によってグループ分けをします。軟体動物の特徴は確かに殻をもつことですが、これだけではありません。軟体動物全体に共通するもっとも大きな特徴は、外套幕(がいとうまく)という膜で体が包まれていることです。サザエやアワビなどで体と殻の接する部分が外套膜です。軟体動物の中には殻を持たない種類が少なからずいますが、例えばタコやイカの体の部分は外套膜で包まれています。

 シャミセンガイが属する触手動物(さらに細かくわけて腕足動物という場合もあります)は一見すると二枚貝そっくりですが、中身はまったく異なります。腕足動物には餌をとったり呼吸をするのに使う触手冠(しょくしゅかん)という器官がありますが、このような器官は軟体動物の二枚貝にはありません。また、殻もよくみてみると、腕足動物と二枚貝とでは違いがあります。腕足動物は体を固定するための肉茎という腕のようなもの(シャミセンガイでいう「さお」の部分)を殻のちょうつがいの部分から出すため、そこに穴が開いています。このような穴は二枚貝にはありません。

ヤエギク
ヤエギク(腕足動物の一種・越前海岸産)
(クリックで拡大)

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「カマキリに擬態したクモ?」・・・長野県長野市の玉置さんの質問

 先日実家の稲刈りの際に写真のようなクモと思われる生き物を見つけました。恐らくクモと思うのですが、足が8本あったかは失念いたしました。刺激を与えると足を折り畳んでしばらく動かなくなります。図鑑で調べましたがよくわからなかったので、詳細について教えていただけると幸いです。(2003年9月24日)

カマキリに擬態?
カマキリに擬態?(玉置さん提供・写真クリックで拡大)
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おこたえ・・・石田 惣(学芸員)

  写真から判断する限り、おそらくクモのトリノフンダマシの仲間(オオトリノフンダマシ?のメス)と思われます。その名前のとおり、この仲間は鳥の糞に擬態していると言われています。一般に、ある形質が擬態として進化したものかどうかの厳密な証明は難しいですが、おっしゃるとおり確かにカマキリの顔にも似ており、行動も似ているのかどうか観察してみたいですね。

 「写真日本クモ類大図鑑」(千国安之輔著、1989年、偕成社)によると、オオトリノフンダマシの分布は本州、四国、九州、南西諸島、成熟期は8から9月で、昼間は葉裏で休み、おもに夜間に活動するようです。これらの生態は、玉置さんの観察された時間や環境とは矛盾しないと思われます。

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 お答えするのに、時間がかかるかもしれません。そういう時はうちの学芸員がまだ必死こいてしらべてるか、かたづけないといけない仕事を先にしてるか、だわもん(注)かのいずれかです。あまりにおそいなあと思う時は、さいそくしてみてください。
(注)福井弁で「なまけもの」のこと

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