このページの最終更新日:2005年5月11日
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・「花筐(かきょう)公園そばの山体について」
・「足羽山・黒龍神社境内にあった隕石の所在」
・「金平糖砒素について」
・「赤兎山の異様に赤い土」

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「花筐(かきょう)公園そばの山体について」・・・福井市の川縁さんの質問

 先日、今立町の花筐(かきょう)公園へ行って来ました。その公園から薄墨桜のある山を少し登ったところに、「岩清水」というポイントがあります。ここはその昔泰澄大師修行の場だったとかで峻険な岩場になっており、岩が自然に深くえぐれて淵が形成されているようなところもありました。(ここが岩清水と言うのでしょうか。立ち入り禁止になっていました。)軽く登れる小山というイメージだったのでちょっと驚きました。またその少し麓寄りにも山肌全体が岩という感じの中に、忠魂碑が立てられていて不思議な感じです。

この山、いったいどうやってできたのでしょうか。この辺の山一体がこんな地質なのでしょうか。(2003年4月7日)

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おこたえ・・・梅田美由紀(学芸員)

 私は今立付近の地質調査の経験がないので、申し訳ありませんが、手元の地質図や文献等での推測した回答でお許しください。

今立の三里山の(ご質問の花筐公園付近の岩石も含まれると思います)「今から約2000万年前の、安山岩質岩石でできている」とあります。

また、以下のホームページの画像を見ると、
http://www.awatabe.com/kouen5iwashimizu.htm

火山礫のようなものが入っており、「火山礫凝灰岩(かざんれきぎょうかいがん)〜凝灰角礫岩(ぎょうかいかくれきがん)」もしくは「溶結凝灰岩(ようけつぎょうかいがん)」のように見えます。火山礫凝灰岩・凝灰角礫岩・溶結凝灰岩は、すべて「火山砕屑岩(かざんさいせつがん)類」にまとめられるもので、火山噴火により生じたさまざまな破片状の物質が堆積・固まってできたものです。

それらの火山砕屑岩類は凝灰岩(もとは火山灰)中に含まれる破片の大きさにより区分され、2〜64ミリ=「火山礫凝灰岩」、64ミリ以上=「凝灰岩角礫岩」、そして(自分の熱で)特に固くなったものを溶結凝灰岩と呼んでいます。ちなみに2ミリ以下の細かい噴出物が火山灰で、これが固まったものが凝灰岩です。

また、この岩清水には磨崖仏が彫ってあるということなので、それほど硬くはないのかなと推測します。

となると、溶結凝灰岩のセンは消去されて、岩石名としては「安山岩質な凝灰角礫岩、所によっては火山礫凝灰岩」が残ります。そしてこの時代は、おざっぱに言えば、アジア大陸東端が分離し、日本列島および日本海が形成された時期にあたります。この地域(今立・三里山など)の岩石は、この時の火山活動にともない噴出したものと考えられています。

また、この山(三里山)がどうしてできたか?については、多分
1.本体を形づくる安山岩質火山砕屑物堆積(約2000万年前)
2.侵食(高いところと低いところが形成)
3.河川堆積物により低いところは埋積され、平野に(約1万年前以降)
4.現在は、高い部分が残され、孤立した山に。
という形成過程が推測されます。

さらに、最後に岩清水がどうしてできたかということですが、ある弱い部分に沿って亀裂が形成され、岩盤の一部が崩れ落ちて凹みができた。その後さらにその部分から侵食が進んで(えぐれて)洞窟状になったりすることが考えられます。もちろん、人的に掘られたものもあると思います。岩清水ができたのは、地質的時間スケールとしては、つい最近のことで、この山自体を形づくった事件は約2000万年前のできごとです。

追記(2003.10.17):掲載当初の回答文で、三里山の作られた年代を「20万年前」と書いていました。正しくは「2000万年前」です。おわびして訂正いたします(上記文はすでに訂正ずみです)。

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「足羽山・黒龍神社境内にあった隕石の所在」・・・兵庫県宝塚市の多田内脩さんの質問

  先日帰郷した際、足羽山の愛宕坂を登ってみました。ここの百坂より少し上の坂ぞいに昔「黒龍神社」という小さい社があり、その境内にはサッカーボール大の金属質の隕石がありました。この大きさのものは全国的にも珍しいといったことを聞いたことがあります。
 この隕石は現在どこにありますか、ご存知ならばお教えください。小学生の時(戦中)、ここの坂を通る時は隕石を叩くのが楽しみでした。(2003年4月18日)

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おこたえ・・・梅田美由紀(学芸員)

 黒龍神社(正確な場所は公園通り沿いの足羽山ふもと)の“隕石”の所在ですが、従来どおり、いまでも黒龍神社の境内の一角に鎮座し、たたくと、サヌカイトのような澄んだ音を出しています(ただ、私の見たところでは、実際の隕石ではないように思われます)。

(注)「サヌカイト」・・・1300万年程前の瀬戸内地域の火山活動で噴出した溶岩がかたまった岩石。讃岐地方で多く産出します。非常に緻密な安山岩で、叩くとよく響き、「かんかん石」とも呼ばれます。
黒龍神社の「隕石」
黒龍神社の「隕石」(2003年4月18日撮影)
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「金平糖砒素について」・・・福井市の西野さんの質問

 鉱物の図鑑を見ていたところ,『金平糖砒素』なる世界的に有名な鉱物が,我が福井県(美山)のみに産出する事を知りました。
1.この金平糖砒素は今でも産出されているのでしょうか?
2.産出しているとすれば,場所はどこでしょうか? 素人が採集できる状態なのでしょうか?
3.「ヒ素」というと,何か危険なイメージがありますが,金平糖砒素には毒性があるのでしょうか?
4.このような自然ヒ素が美山に産出したのはなぜでしょう? 鉱物は熱水の働きと関係が深いと聞きましたが,やはり関係しているのでしょうか?(2003年7月30日)

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おこたえ・・・梅田美由紀(学芸員)

 鉱物名は「自然砒」ですが、博物館の台帳では「通称:コンペイトウ石」となっているので、以下コンペイトウ石と呼びます。 産地は、美山町赤谷鉱山です。

1,2.今でも採集できるかという質問ですが、私自身は採集していないので確実なことは言えません(申し訳ありません)。ただし、鉱物収集家(?)さんのHPを見ると、最近でもズリの中から採集されている方がいらっしゃるようです。形がコンペイトウ型のものはなかなか採集できなくとも、自然砒は採集可能のようです。「コンペイトウ石、福井県、赤谷鉱山」などで検索するとヒットすると思います。産地のルートマップや状況を写真入で紹介しているHPもありました。

3.また、自然砒は、なめると危険とされています。

4.どのように生成したのかについては、もう少し調べさせてください。

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「赤兎山の異様に赤い土」・・・滋賀県山東町の小野さんの質問

 先日(7月26日)勝山からのルートで赤兎山に登って来ました。登り口付近の土の色が異様に赤いのに気が付きました。この赤い色の成分を教えて頂きたくお願いします。(2003年7月30日)

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おこたえ・・・梅田美由紀(学芸員)

 勝山からのルートというと、登り口は、小原峠でしょうか。赤い色の成分は、やはり現物を分析しないとわかりません。私は赤兎山ふもとの赤い土壌をじっくり見たことがないで、はっきりした回答はできませんが、一般的には、母岩(小原峠だと、濃飛流紋岩が分布しています)が風化して、その中の鉄分が酸化されてできた酸化鉄の色、鉄さびの赤色だと言われています。

 福井市自然史博物館のある足羽山は凝灰岩でできているのですが、やはり場所によっては表面が赤くなっているところがあります。この部分の土を砕いて、磁石を近づけると何やらくっついてきます。ただし、このくっついてきたものをそれ以上は(何なのかは)追求はできませんでした。

 ところで「赤兎」という名称は、秋に紅葉するころ山全体を見ると、赤い兎がうずくまっているように見えるからだそうです。赤兎を含め、その南側の打波川上流の紅葉は福井県でも1、2を誇る美しさだと思います。

 (その後、8月に赤い土を実際に送っていただきました)

 赤兎山登り口(小原峠)の”赤い土”お送りいただきありがとうございました。確かにかなり赤い色ですね。また、3価の鉄という情報もありがとうございました。

 3価の鉄が含まれるということは、「赤鉄鉱(ヘマタイトFe2O3)」が赤色の正体ではないかと思います。一般に、土壌の赤色は、Feの含有量や酸化の程度で決まるらしく、2価のFe(磁鉄鉱)は、地表付近での風化(水分やバクテリアが関係する)により酸化され、3価 のFe(赤鉄鉱、いわゆる鉄サビ)になり、赤色を呈します。Feの供給源は岩石中の黒雲母や角閃石が考えられます。

 ということで、小原峠の土の色が赤いのも上記のような現象ではないでしょうか。

 ところで、今年5万7千年ぶりの大接近をした「火星」の表面の砂にも酸化鉄が含まれ、このために火星は赤く見えるといわれています。

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(注)福井弁で「なまけもの」のこと

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