このページの最終更新日:2005年5月11日
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しぜんし質問箱・昆虫編

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・「福井県のサナエトンボ」
・「子供がみつけてきた虫の正体」
・「アリの体について」
・「昆虫という名前の由来」

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「福井県のサナエトンボ」・・・石川県金沢市の浅地さんの質問

 ネット上で公開されている、「福井県のすぐれた自然データベース」(http://www.erc.pref.fukui.jp/gbank/tokusei/index.html)を見ていましたら、ナゴヤサナエの記録が以前にあったようですが、近年の追認の情報はあるのでしょうか? 福井県には大河九頭竜があるのでメガネサナエ属がいそうな気がしますが、どうなのでしょう?

「福井県のすぐれた自然データベース」は完全に産地が網羅(公開)されているのでしょうか? データベースにない地域で小生は次のものを採集しています。ホンサナエは竹田川とその付近の水系、熊坂川、権世川にもいますし、アオサナエも竹田川、権世川にいます。これらは決して少なくありません。4月6日には権世川の中川橋付近でキイロサナエの幼虫を終令2頭、中令2頭、若令1頭を採取しています。ヤマサナエと混生していますが、キイロは少ないようです。権世川だけでも他にオジロ、ミヤマ、ダビド、オナガサナエ(うようよいる!)とサナエトンボがとても豊で羨ましいです。ただブルーギルもアメザリも掛かってきて、将来が懸念されます。しかし福井県のトンボはとても豊か、と感じています。本県の武藤明博士も福井県がたいそうお気に入りのようで、何でか?私も最近分かってきました。宜しくお願いいたします。(2003年4月8日)

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おこたえ・・・和田茂樹さん(福井で幼少時よりトンボを追いつづけてきた東京在住のトンボ研究家・日本蜻蛉学会会員)

<ナゴヤサナエについて>
ナゴヤサナエは私は福井では見ておりません。最近の記録は私の知る限りないと思います。九頭竜川水系も気にはしていますが十分な調査はできていません。九頭竜川は大河とはいえ、太平洋側や日本海側の兵庫・新潟などの産地に比べてナゴヤサナエに適した環境の範囲は限られていると思います。

<データーベースの情報、その他の種について>
データーベースには必ずしも全ての産地が網羅されてはいないと思います。福井にも何人かトンボを調べている方がおられ、各人の裁量で公表していますので、公表されていない記録もかなりあるとは思います。私は主な記録は大体発表するようにしていますが、東京に移り住んでからはそれもなかなかかないません。オジロ・ミヤマ・オナガサナエなどは福井では普通種です。キイロサナエも九頭竜川水系に低密度に分布しているようです。ホンサナエも竹田川水系に多産し、石川県でなんとか再発見できないものかと思います。オナガサナエ・ホンサナエは大聖寺川あたりはいかがでしょうか? アオサナエは竹田川水系を含め九頭竜川水系では私は見ていませんでした。

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「子供がみつけてきた虫の正体」・・・福井県丹生郡清水町の斎藤さんの質問

 実は子供の宿題で、身近な昆虫を図鑑で調べて報告するというのがありまして、子供がどこから探してきたのか、通常の簡単な図鑑では該当 するものが見つかりません。それで、いろいろインターネットで図鑑を検索したのですが、どうしても見つけられません。写真の虫の正体を突き止めたくご協力をお願い申し上げます。(2003年5月28日)

子供がみつけてきた虫
子供がみつけてきた虫(斉藤さん提供)

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おこたえ・・・長田 勝(学芸員)

 写真の虫は、クサカゲロウの一種の幼虫と思われます。クサカゲロウ類は肉食性で、アブラムシなどを捕食します。成虫は薄緑色で美しく、電灯などにも飛んで来ます。写真の幼虫は、腹部の先端が針状に見えますが、体の一部ではなく、実際は粘っこい体液か何かが糸を引いているように思えるのですが・・・。
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「アリの体について」・・・東京都世田谷区の上杉さんの質問

 夏休みを使って、「アリ」のことを調べています。体のことを知りたいのですが、資料となる本がなかなか見つからなくて、こまっています。6つ、聞きたいことがあります。

1.アリの寿命は、どのくらいですか?
2.アリは、フンをするのですか?
3.アリの体の中は、どのようになっているのですか?
4.アリに指はありますか?
5.アリには筋肉はついていますか?
6.アリは、高いところから落ちても、平気なのは、なぜですか?実は、ケガをしてるんですか?
(2003年7月21日)

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おこたえ・・・長田 勝(学芸員)

1.正確には分かりません。一般的に言われているのは、働きアリでは半年〜1年くらい(ただし、自然状態では天敵や事故も多いので、平均1ヶ月くらいとも言われています)、女王アリは10〜10数年くらい生きるそうです。ヨーロッパトビイロケアリという種類では女王が29年生きた記録があるようです。

2.します。ただし、「フン」というと我々人間のような固形物を連想してしまうので、排泄物(はいせつぶつ)という表現のほうがよいのではないでしょうか。私はオシッコ状の液体の排泄物は見ましたが、固形のは見たことがありません。小さくて気づかないのかも知れません。

3.ごく簡単な絵ですが、「新日本動物植物えほん3 ありのごちそう」(高家博成ぶん・横内襄え、新日本出版社)の29ページなどが参考になります。

4.アリの脚の先に爪がついた5節の部分があります。虫めがねで観察してみて下さい。これをふ節(ふせつ・"ふ"は足へんに付)といいます。昆虫の場合、この節が人間の掌(てのひら)と指に相当すると考えられます。

5.はい、ついています。昆虫・エビ・カニなどの節足動物(せっそくどうぶつ:体が節々でできている)は固い殻によって体全体が保護され、その内側に筋肉がついているのですが、これを外骨格(がいこっかく)といいます。ですから、筋肉そのものは外側からは見えません。これに対し、魚・ヘビ・カエル・鳥・哺乳類は骨格が体の中にあり、この骨組みを包みこむように筋肉がくっついています。こうした骨格を内骨格といいます。

6.アリはもともと体重が軽いので、高い所から落ちてもダメージはほとんどないようです。でも、落ちた時に強い風などで叩きつけられると、細い脚などは折れることがあるかも知れませんね。

日本産アリ類画像データベースというサイト(http://ant.edb.miyakyo-u.ac.jp/J/index.html)では、絶版になった学研の写真図鑑「アリ」などをはじめ、いくつかの入門書を読むことができます。こちらも参考にしてみてください。


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「昆虫という名前の由来」・・・東京都大田区のゲンゴロウモドキさんの質問

 昆虫という名前はどこから来ているのですか? 名前の由来を教えてください。(2003年10月1日)

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おこたえ・・・角鹿尚計(昆虫好きの福井市立郷土歴史博物館学芸員)・石田 惣(当館学芸員)

 日本では、平安時代の「延喜式」(10世紀ごろ)で「はふむし」という言葉に対して昆蟲という字をあてはめています。また、同時代の「菅家文草」にも「昆蟲」という言葉があり、この場合は「こんちゅう」に近い発音で読ませていたのではないか、と考えられます。

 中国大陸では「礼記 王制」ですでに昆蟲という言葉が出現するため、おおもとは紀元前に生まれた言葉ということになるでしょう。(以上回答 角鹿)


 (石田追記)ただし、はふむしという言葉は地面をはいまわるいろいろな虫を指すと考えられるため、分類学的な昆虫の概念とは異なります。分類学的定義に沿った使われ方が定着するのは、おそらく西洋の学問体系が輸入された明治以降になるのではないでしょうか。

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を書いておいてください。

2.写真などの添付ファイルをおくっていただいてもかまいません。ただし、生物や岩石のなまえは、実物の標本がないとお答えできないかもしれません。


 お答えするのに、時間がかかるかもしれません。そういう時はうちの学芸員がまだ必死こいてしらべてるか、かたづけないといけない仕事を先にしてるか、だわもん(注)かのいずれかです。あまりにおそいなあと思う時は、さいそくしてみてください。
(注)福井弁で「なまけもの」のこと

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