このページの最終更新日:2005年5月11日
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・「高浜町音海の海岸の地層・岩石・化石について」
・「三角貝はどういう生活をしていたのでしょうか?」
・「これはキリガイダマシでしょうか?」

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「高浜町音海の海岸の地層・岩石・化石について」・・・福井県小浜市のひろあきさんの質問

 高浜町の音海の海岸で貝の化石を取ってきました。音海の海岸の地層・岩石・今までに取れた貝の化石の名前などでわかっていることがあれば教えてください。(2003年8月8日)

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おこたえ・・・梅田美由紀(学芸員)

 音海の海岸で化石を採集されてきたとのことですが、多分、高浜町名島のいわゆる“千畳敷”のことではないかと思います。以下、千畳敷を想定して回答いたします。

 内浦半島には、主に新生代第三紀中新世の内浦層群とよばれる地層が分布しています。千畳敷については、福井県の自然保護課のホームページに以下のような記載がありますので引用します。

Copyright (C) 福井県福祉環境部自然保護課
出典「福井県のすぐれた自然(動物編、植物編、地形地質編)」(1999年 福井県自然環境保全調査研究会監修 福井県発行)

 大飯郡高浜町名島周辺には新生代第三紀中新世の内浦層群(1,650 〜1,500 万年前)が分布し,多くの化石が産出する.Kobayashi and Horikoshi (1958) はTectus (Rochia) japonicusという巻貝の新種をはじめ,キューバオオムガイ(Aturia cubaensis)やナカムラタマガイ(Globularia nakamurai),トクナガイモガイ("Conus" tokunagai),オザワサザエ(Turbo (Marmorostoma) ozawai)などの熱帯海域砂底に特徴的な化石群集を日本で初めて報告した.また,砂質凝灰岩からは,ノトアワビ(Haliotis notoensis)やオザワサザエ(Turbo (Marmorostoma) ozawai)などの巻貝,オオサワホクロガイ(Oxyperas osawanoensis)やビノスガイモドキ(Venus (Ventricolidea) sp.)などの熱帯海域に多い二枚貝を産出する.また,多くの石灰藻やサンゴ,サメの歯などを産出する.凝灰質砂岩から産出する化石は,日本の中期中新世に熱帯砂底の環境があったことを示す最も有名なものであり,砂質凝灰岩から産出する化石群集は日本では数少ない岩礁性の化石群集であり,共に日本の中期中新世の化石群集を考える上でなくてはならない地点である.

ということで、地層は「新生代第三紀中新世の内浦層群」、化石を産出する岩石は主に「砂質凝灰岩」、主な産出化石は上の文を参考にしてください。この記述で強調していることは、「千畳敷の貝化石が、当時(中期中新世)、日本に熱帯砂底の環境があったことを示し,砂質凝灰岩から産出する化石群集が日本では数少ない岩礁性の化石群集だ」ということです。

 なお、本格的な文献としては、「中川・竹山(1985)福井県内浦層群の貝化石群集と堆積環境。瑞浪市化石博物館研究報告」があります。また、化石の図鑑としてひとつ手元において勉強したいということであれば、北隆館の「学生版 日本古生物図鑑」(2500円くらい)が、まずおすすめです。写真入りで、この内浦層群で産出する化石もいくつか紹介されています。ただし、産地は別のところです。

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「三角貝はどういう生活をしていたのでしょうか?」・・・宮崎県高鍋町の白木さんの質問

 三角貝はどういう生活をしていたのでしょうか? 本には三角貝には、貝の合わせ目に二つの隙間(?)があるというような事が書かれていました。それは、やっぱり貝だけにそこから身を出し入れしていたのかなと思ったのですが、三角貝とはどういう生き物だったのでしょうか?(2003年8月4日)

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おこたえ・・・梅田美由紀・石田 惣(学芸員)

 お尋ねの三角貝とはどういう生き物だったか?という件に関して調べてみましたが、その生活の様子まで研究した文献は見つかりませんでした。通常、古生物の生活(古生態)は現生のものから類推することが一般的です。

 以下は、わかったことを回答いたします。
(すでにご存知かとも思いますが)
 三角貝そのものは中生代だけに生存した原始的な貝で、もちろん絶滅しています。しかし、その子孫は、ネオトリゴニア(Neotrigonia)といい、現在オーストラリアの浅い海(水深10mほど)に生息し、いわゆる“生きた化石”としてあつかわれています。この貝(ネオトリゴニア)の特徴は、その内側にあるちょうつがいの合わせ目の歯の構造と配列です。またネオトリゴニアの殻内面には美しい真珠光沢があるのも特徴のようです。

 この現生のネオトリゴニアの貝殻の写真は、「Neotrigonia」で検索していただくと、たくさんヒットしまのでごらんください。文章では表現しづらい「歯」がうまく撮影された写真もあります。

http://users.bigpond.net.au/jandmgrist/Shells/Neotrigonia_margaritacea.html
http://www.femorale.com.br/shellphotos/detail.asp?species=Neotrigonia+bednalli+%28Verco%2C+1907%29

 結論は、「中生代の三角貝は多分、浅い海にすんでいたのでしょう」ということです。

<参考にした本やホームページ>

1)保育社「生きている化石ー動物ー」

2)高知大学理学部の進化古生態学研究室のホームページ
http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~ykondo/

3)田代正之(1992):化石図鑑,日本の中生代白亜紀二枚貝.307 p. 自費出版.
上記の図鑑がすでに入手しにくいということで、高知大学のホームページに掲載されています。この図鑑を著した田代正之先生は、高知大学名誉教授です。その中のサンカクガイ科のページのアドレスです。
http://sc1.cc.kochi-u.ac.jp/~ykondo/tashiro/11Trigonia.html#family_tri
(以上回答 梅田)



 現生の貝でもミルクイなどは、水管をだすために殻の合わせ目にすき間があります。三角貝については私はわからないのですが、体の一部を出すためのすき間なのかもしれません。
(以上回答 石田)

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「これはキリガイダマシでしょうか?」・・・福井市の「RZVの化石」の管理人さんの質問

 国見町の国見累層産ですが、この層からの同標本を見たことが無いものですから、教えてください。ちなみに、殻高は5cmです。(2003年9月24日)

キリガイダマシ
キリガイダマシ?(「RZVの化石」の管理人さん提供・写真クリックで拡大)
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おこたえ・・・中川登美雄さん(当館協力員・古生物)

 写真を見る限りキリガイダマシに間違いありません.国見層ではあまり見かけませんが,石川県の河南層や富山県の八尾層など北陸の同時代の地層中からは良く産出する属です.丹生山地においても国見層の上の荒谷層からキリガイダマシが産出していまています.ただ,写真の標本ほど大きくもなくきれいではありません.なお,Turritella属であることはわかりますが写真だけでは種の同定はできません.
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(注)福井弁で「なまけもの」のこと

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