オスジカどうしの角突きイラスト オスはオスとたたかう (6)

オスどうしのたたかいを利用した遊び

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古今東西に普遍の遊び

牛やニワトリなど、動物のオスどうしをたたかわせ、勝ち負けを競う遊びは、古くから世界中でおこなわれています。これは、オスのもつ習性をじつにうまく利用したものです。
たとえば闘牛(とうぎゅう)は、日本では鎌倉時代(約700年前)に隠岐島(島根県)での記録があります。現在も年中行事として伝えられている地域があり、とくに沖縄では全島あげての熱狂的なイベントになっています。また、中国のコオロギ相撲(闘蟋(とうしつ))は少なくとも唐代(約1200年前)にその歴史をさかのぼり、今でもさかんに行われています。芸術性の高い道具をみても、闘蟋は中国を代表する娯楽(ごらく)文化といえるでしょう。

沖縄の闘牛

沖縄本島の北中部では牛どうしをたたかわせる闘牛(ウシオーラセー)がさかんです。各自治体には公営闘牛場があり、毎週末にはどこかの闘牛場で闘牛が開催されます。闘牛場は直径20メートル前後の円形で、柵(さく)で囲まれた周りに観客席が並びます。取り組みでは牛が角を突き合わせ、勢子(せこ)があおります。一方が逃げ出すまで角突きが続きます。

映像(右):「沖縄の闘牛」
全島オールスター花形戦大闘牛大会(2004年6月27日)の花形戦・ホワイトシャネル対セイザイトガイーの取り組みです。ホワイトシャネル(顔に白い斑のある方)は途中で角突きをやめたがるような様子ですが、勢子にあおられるためか、角突きを続けます。その結果は・・・
撮影地:沖縄県具志川市・安慶名(あげな)闘牛場
撮影者:石田 惣

沖縄の闘牛
画像をクリックすると再生します(2分42秒・音声あり・30.7MB)

中国のコオロギ相撲

コオロギのオスどうしをたたかわせるコオロギ相撲(闘蟋(とうしつ))は、中国で1200年以上の歴史をもつ遊びです。
相撲はコオロギの体重を計測することから始まります。同じ体重のコオロギが対戦相手です。土表に入れられたコオロギは、茜草とよばれる道具で触覚(しょっかく)を刺激されます。これによってコオロギはオスが目の前にいると勘違いし、闘争モードに入ります。十分に闘争心が高まったところで相撲の開始です。大顎(おおあご)でかみ合ったり、闘争鳴きを発したりして争います。一方が背を向けた時点で、勝負が決まります。勝ったオスは、勝ちどきの鳴き声をあげます。

闘蟋用具のいろいろ(所蔵:加納康嗣
養盆
「養盆」ZOOM
コオロギを飼う焼き物の容器です。餌や水を入れる小皿、鈴房とよばれる寝床を入れてあります。

竿ばかり
「竿ばかり」ZOOM
取り組み前にコオロギの体重をはかる専用のはかりです。黄色のケースにコオロギが入ります。

茜草
「茜草」ZOOM
柄の先についた繊維で触覚を刺激し、コオロギを怒らせます。


映像(右):「コオロギの闘争―実験室での再現」
飼育容器の中でコオロギのオスどうしをたたかわせた映像です。この実験ではオス2匹の他にメスを1匹入れていますが、中国のコオロギ相撲ではメスは入れません。
撮影者:角(本田)恵理

コオロギの闘争―実験室での再現
画像をクリックすると再生します(1分50秒・音声あり・19.2MB)

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特別展「どうぶつたちのプロポーズ大作戦!!」電子図録
(C)2004 福井市自然史博物館