オスジカどうしの角突きイラスト オスはオスとたたかう (4)

エースがダメならスキをねらえ!スニーキング戦略

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あぶれオスは見てるだけ?

オスはメスにプロポーズするために「なわばり」をつくることがあります。よい場所で広いなわばりをもつことができれば、エサをたくさん集めたり、天敵から身を守ることができます。そのため、メスはオスのなわばりをみて、プロポーズを受けいれるかどうかを決めることが多いようです。いっぽうのオスは、なわばりをめぐってオスどうしではげしくあらそうことになります。その結果、なわばりを持てない「あぶれオス」がでてきます。

あぶれオスになってしまうと、メスには見向きもされなくなります。そうなると、プロポーズするチャンスはありません。では、あぶれオスは、指をくわえて見ているだけなのでしょうか?

実は、いくつかの魚では、プロポーズに成功したなわばりオスがメスの卵に精子をかける(放精(ほうせい)という)とき、あぶれオスがよってきて放精することが知られています。このようなスキをついた作戦を「スニーキング」(こっそりぬすむという意味)といい、そのようなオスを「スニーカー」と呼びます。チャンスはかなり小さいようですが、スニーカーも自分の子供をのこせることがあります。

アマゴのスニーキング

映像:「アマゴのスニーキング」
アマゴ(Oncorhynchus masou ishikawae)のなわばりオスが巣を作ってメスの産卵を待っています。メスが産卵するとなわばりオスはすかさず放精しますが、そのスキをついて、あぶれオスが巣にしのびこんでいます。なお、このあぶれオスは無紋型アマゴで、「イワメ」と呼ぶこともあります。
撮影者:鹿野雄一
画像をクリックすると再生します(58秒・音声なし・9.1MB)
カネヒラのスニーキング

映像:「カネヒラのスニーキング」
カネヒラ(Acheilognathus rhombeus)はイシガイ、タテボシ、セタイシガイなどの淡水二枚貝に産卵します。映像ではオスが産卵させる貝へメスをエスコートしてきます。エスコートオスが他のオスに気をとられている間にメスが産卵をし、あわてて放精をしに戻ってきます。その直後、他の多くのオスも放精にやってきます。
撮影者:北村淳一
画像をクリックすると再生します(54秒・音声なし・8.8MB)


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特別展「どうぶつたちのプロポーズ大作戦!!」電子図録
(C)2004 福井市自然史博物館