福井市自然史博物館 マスコット(シジュウオ) このページの最終更新日:2021年10月2日

稀少になった大型鳥類

近年の人間活動による自然環境の悪化から、様々な生物が絶滅の危機に瀕しています。特に大型鳥類は、広範囲の生息圏を必要とすることや、乱獲の対象にもなってきたこと等から、国内で多くの種が絶滅あるいは絶滅危惧に指定されています。
当館では、主に高度成長期以前に収容された大型鳥類の標本を所蔵しています。ここではその一部をご紹介します。

コウノトリイヌワシクマタカトキ



コウノトリ
コウノトリの剥製 特別天然記念物に指定されています。昭和20年頃までは各地の水田や湿地に生息していました。魚やカエルなどの水性小動物をエサとしていましたが、繁殖地の開発や農薬の影響で個体数は急激に減少し、昭和46年以降は日本産の野生コウノトリは確認されていません。
福井県では昭和41年まで武生市と小浜市で繁殖していたので、昭和39年から42年まで、「県の鳥」に指定されました。
この個体は、昭和30年12月に福井市波寄町で収容されたものです。



イヌワシ
イヌワシ剥製
天然記念物に指定されている大型の猛禽類で、森林と草原を見下ろす大きな崖地や急斜面を好んで生息しています。ウサギ・キツネ・ヘビ・ヤマドリなどの小動物をエサとし、1ペアの生息範囲は50〜100km の広さを必要としています。林道工事や樹林の伐採によって生息範囲が狭められ、個体数は減少しており、絶滅危惧種に指定されています。
県内では主に奥越の山岳地帯に周年生息し、個体数は12〜20羽程度とされています。
この個体は昭和37年8月に丹生郡越前町で収容されたものです。



クマタカ
クマタカ剥製
イヌワシに次ぐ大型の猛禽類で、低山から亜高山帯の森林に周年生息しています。ウサギ・キジ・ヤマドリなどをエサとし、高木に営巣します。近年は林道の敷設や植林事業による生息環境の改変で、個体数も減少しており、稀少猛禽類に指定されています。
県内では、里山から県境にいたる山地に生息していますが、福井市近郊の里山では確認されることが少なくなっています。
この個体は昭和27年1月に坂井郡丸岡町で収容されたものです。



トキ
トキ剥製 天然記念物に指定されています。昭和初期までは、全国各地の湿地や水田でカエル・タニシ・ドジョウなどをエサとして繁殖していた、普通種でした。しかし、日本産トキは、佐渡のトキ保護センターで飼育されている1羽が2003年に死亡し、絶滅してしまいました。これは、繁殖地の開発、農薬の影響、猟銃の普及などが、現状を招いた原因としてあげられます。
この個体は昭和32年1月に、福井市久喜津町狐橋で収容されたものです。


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