おつぼねこつぼね ”虫”さがし

“虫”とは、いわば業界用語で、“radiolarians 放散虫のことです。
私たちが探している放散虫は、かたーいかたーい石の中に入った、つまり化石になったものです。
大きさは、0.2mmほどで、野外ではよくわかりません。はっきりいって適当にサンプリング(試料採集)してきます。室内で処理してはじめて“虫”が入っているかどうかがわかります。それで、虫出し打率○割だとかいいます。野球と同じで、打率3割は良いほうです。


ところで、この“虫”探しは、学会では1970年代後半から流行し、1980年代半ばには頂点に達しました。
その間、世に出た“虫”の数は、虫の数・・・いえ、星の数ほどで、だれにもその正確な数はわかりません。
そして、この“虫”、小さいながらも、星の数ほどにもなると、従来の地球科学の基本的考え方や日本列島の地史を根底から変えてしまうという、偉業を成し遂げます。この変化は「放散虫革命」といわれています


さて、私たちのホームグラウンドは、南条山地といって、武生の吉野瀬川より南〜岐阜県との境までです。この南条山地の地質年代は、中生代三畳紀〜中生代ジュラ紀の中ほどで、今から約2億数千万年前〜約1億7000万年前です。この年代も放散虫化石によって、明らかになったものです。

その、南条山地のあちらこちらから放散虫化石は見つかりました。美しい形の“虫”は、引く手数多(あまた)で、すぐに世に出ました。しかし、並みの”虫”や中途半端な“虫”たちは、それこそ研究室のかたすみのファイルに入れられたままでした。
ヒマをもてあましていた私たちは、かたーい石の中からせっかく出てきた“虫”たちを、この世に紹介しましょうよ、と始めたのが、以下に掲載した報告です。


前置きが、長くなりました。
次のペーシからが、おつぼねこつぼね ”虫”さがしの報告が始まります。

虫さがしの報告を読む。(内容は、ちょっと難しいです。地学専門者向けです)

報告−その1−「放散虫化石産地ノート1」 へすすむ

報告−その2−「放散虫化石産地ノート2」 へすすむ

報告−その3−「放散虫化石産地ノート3」 へすすむ


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