下野谷豊一氏収集アンモナイトコレクションより |
これは、福井市在住の下野谷豊一氏が収集した、福井県大野郡和泉村産のアンモナイトのコレクションです。アンモナイトの同定は、筑波大学名誉教授・佐藤 正先生によります。日本のジュラ系アンモナイトは、一般に保存が悪く、九頭竜地域産のものに関しても、殻そのものが残っている化石は稀です。しかし、本コレクションの中には形状が非常に良く保存された化石も多く含まれています。 ここでは、コレクションの中から、代表的な種類のアンモナイトを紹介します。 |
参考文献:(1)福井市自然史博物館資料目録「下野谷豊一氏収集アンモナイトコレクション」(1997); (2)図録・福井県産アンモナイト(1990) |
S.col. 001 | |
Phylloceras sp. A | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Phylloceras属は、殻が密に巻き、膨れた断面を持ちます。殻の表面と内側では装飾が異なります。 殻そのものが失われた内型で、表面に装飾がないものをPhyllocerassp. Aとしてまとめました。 本標本は、径が3.5?で、縫合線がきれいに現れています。 |
S. col. 011 | |
Phylloceras sp. B | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian)時代 | |
殻の外側の装飾が残されているもので、細かい筋状の放射肋を持つものをPhyllocerassp. B としました。 |
S. col. 028 | |
Phylloceras sp. C | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
きわめて密巻きで、膨れた断面の殻をもちます。Phylloceras sp.C としたものは殻口の部分に屈曲した強いくびれがあります。 この標本は、径が6?あります。 |
S. col. 052 | |
Holcophylloceras sp. A | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Holcophylloceras 属は密巻きで、殻の断面は膨れた形をしています。周期的に強い屈曲したくびれがみられます。この属は、殻の外側と内側とで装飾が同じです。内型のくびれは、外型でもくびれ、殻の表面には弱い肋ができます。 本標本は、径が7.5?あり、殻口部分に深いくびれ、また、外側殻上には数本の浅いくびれがみられます。 |
S. col. 069 | |
Ptychophylloceras sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Ptychophylloceras 属は、殻は密巻きで、目立った装飾はありません。殻の腹側に周期的に肋状の高まりがあるのが特徴です。 この標本は、径が6?で、殻口部分に5本の肋がみられます。 | |
S. col. 102 | |
Parapatoceras sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Parapatoceras 属は、殻が最初ゆるくまきますが、後に直線上に伸びます。やや粗い直線的な肋があり、殻を切れ目なくとりまきます。 本標本は、長さが11.5?あり、殻の表面にはリング状の単純な肋に飾られています。 |
S. col. 109 | |
Oxycerites cf. oppeli Elmi | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Oxycerites 属は、扁平できわめて密巻きの薄い円盤状の殻をもちます。腹部は非常に薄く、するどく刃状になります。幼時は屈曲する肋がありますが、成長すると弱くなり、最後に消えてしまうことが多い。 本標本は、径が5.5?あります。 |
S. col. 118 | |
Oxycerites cf. sulaensis Wesremann et Callomon | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
扁平で密に巻いた円盤状の殻をもち、側面は中央部で2分され、内側半分はほとんど平滑です。外側には鎌形の鈍い肋があります。 |
S. col. 136 | |
Oxycerites cf. subcostarius (Oppel) | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
やや密巻きで、丸みを帯びた殻で、側面中央で屈曲する肋をもちます。 本標本の径は2.0?で、殻口にやや突き出たラペットがあり、オスの標本です。 |
S. col. 149 | |
Ochetoceras sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村長野 | |
時代/中生代ジュラ紀後期(Oxfordian) | |
Ochetoceras 属は、密巻きの扁平な円盤状の殻をもち、腹部は丸く、中央に稜があります。側面の肋は鎌状で、中央に溝があり、これで内外に2分されます。 本標本は、径が5?で、殻が良く保存されており、殻の一部は黄鉄鉱に置換されています。 |
S. col. 154 | |
Bullatimorphites cf. microstoma (d' Orbigny) | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Bullatimorphites 属は、厚い断面をもち、殻の巻きは最後にほどけてきます。断面も幼殻では厚いハート型、成殻では楕円状になります。 本標本は、径が3?で、成殻です。殻口部には屈曲した深いくびれがあり、その外側に縁飾りのように弧状に突出したラペットがある、オスの標本です。 |
S. col. 155 | |
Kepplerites sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Kepplerites 属は、ゆる巻きで最後に巻きがゆるみます。殻の断面は幼時には平らな腹部をもちますが、成長すると丸みをおびるようになります。肋は幼時には細かく密に生じていますが、成長するにしたがい、1次肋から2次肋が群生するようになり、最後にはうすく弱くなります。北方系のアンモナイトで、北極海周辺地域に分布します。 本標本は、径が3.5?です。 |
S. col. 159 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Pseudoneuqueniceras 属は、殻はゆる巻きで、幼時には肋だけでいぼがありません。側面の肋は幼殻時はPerisphinctesの型式で、幾分前方に傾いた長い細かい1次肋をもち、腹縁近くで2〜3本の2次肋が分岐します。そして、この属の特徴は、直径1〜2?内外の幼殻では、肋が細かく強く前方に傾き、不規則な弱いくびれと強い肋をもつことです。Pseudoneuqueniceras は九頭竜地域のアンモナイトの研究により新設された属です。 本標本の径は7?で、くちばし状のラペットが明瞭で、オスの標本です。 |
S. col. 164 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が10?で、側面の放射状に延びる稜の中央部に強いいぼがあります。また、外側殻に外れた顎器(アプチクス)が付着しています。 |
S. col. 167 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が10?で、巻きの最後の方では、強いいぼが発達します。 |
S. col. 169 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が6?で、殻口部分にラペットの一部らしきものが残り、オスの可能性が高い標本です。 |
S. col. 180 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が5.5?で、殻口部分に明瞭なラペットが残っています。オスの標本です。 |
S. col. 182 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が7?で、殻口部分にラペットがあります。オスの標本です。 |
S. col. 183 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が8?です。 |
S. col. 184 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が6?です。表面はやや摩耗していますが、フォーク状に分岐した2次肋がよく分かります。 |
S. col. 214 | |
Pseudoneuqueniceras maedai (Sato) | |
産地/福井県大野郡和泉村貝皿 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、きわめてゆる巻きで、極端に粗い肋をもちます。径は6.5?です。 Pseudoneuqueniceras yokoyamai の標本をたくさんならべてみると、P.yokoyamai か P. maedai か区別できないような中間の特徴をもった個体がありますが、この標本のように肋が極端に粗いものを後者にしました。 |
S. col. 415 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が6?です。殻口までよく保存されており、ラペットの一部が認められます。 |
S. col. 417 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が6.5?です。 |
S. col. 446 | |
Pseudoneuqueniceras yokoyamai (Kobayashi et Fukada) | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
本標本は、径が9.5?です。 |
S. col. 640 | |
Choffatia sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村下山 | |
時代/中生代ジュラ紀中期(Bathonian〜Callovian) | |
Choffatia 属は、小型ないし中型のゆる巻きの殻をもつアンモナイトです。1次肋と2次肋の差別がはっきりしており、1次肋はやや強く高い。肋は成長すると弱くなり、消滅することもあります。 本標本は、径が6?で、側面中央で1次肋から2〜3本の2次肋が分岐するのがよく分かります。 |
S. col. 655 | |
Kranaosphinctes matsushimai (Yokoyama) | |
産地/福井県大野郡和泉村長野 | |
時代/中生代ジュラ紀後期(Oxfordian) | |
Kranaosphinctes 属は、細かく規則的に腹縁で2〜3分岐する肋が、最後の殻で次第に単純な肋になり、最後は腹部が平滑になります。強いくびれがあります。Oxfordian のよい指示化石です。 本標本は、径が10?あります。 |
S. col. 684 | |
Euaspidoceras sp. | |
産地/福井県大野郡和泉村長野 | |
時代/中生代ジュラ紀後期(Oxfordian) | |
Euaspidoceras 属はきわめてゆる巻きのアンモナイトです。殻は長方形の断面をもち、肋は太く強く、へその縁と腹縁とに通常2列のいぼが付くなどの特徴があります。 本標本は、径が7?で、外縁のいぼが折れて失われています。 |