3.切り立った断崖とその上の不思議な平坦面の正体は?

 福井市糸崎付近の標高40mほどにある平坦面は、十数万年前の海水面付近でできた侵食面です。
 つまり、かつては海水準付近にあったものが、現在は標高数十mの高さの階段状の平地として残っているものです。このような地形を「海成段丘」と呼んでいます。
海成段丘のできかた
▲ 海成段丘のでき方
 海成段丘面は、昔の海水面付近で形成された平坦面が、現在は標高数十mの高さの階段状の平地として残された地形です。
 越前海岸では、この海成段丘が非常によく発達しています。このことは越前海岸が著しい隆起海岸といえる証拠の一つです。
糸崎の海成段丘
▲ 亀島から見た糸崎付近の海成段丘
(山本提供)
 鉾島から糸崎方面をながめると、標高40m付近の高さに平坦な地形面があることに気づくでしょう。また、地形図では等高線がゆるやかで、畑などに利用されていることが読みとれます。
 段丘前面は海食崖とよばれ、切り立っています。越前海岸では糸崎付近で最も広く、この平坦面が残されています。
大丹生の海成段丘
▲ 小丹生から見た大丹生付近の海成段丘
 段丘面は平坦で畑などに利用されています。
段丘の形成年代は約12万年前、段丘面の高さは越前岬付近が最も高く、標高約120mです。これらから計算すると、越前海岸は最大で、1m/1000年を超える早さで隆起していると推測されます。

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