2.奇岩が続く海岸風景にかくされた新事実とは?

越前海岸の波食地形と地震活動

 越前海岸沿いの岩礁には、海水面から数m高い位置に平坦面が見られます。
 最近の調査により、この平坦面は数段確認することができ、さらにこれらは数千年ごとに起こった大地震によってできた地形であることがわかりました。
波食地形
▲ 岩石海岸の波食地形の模式図
(木下原図)
 越前海岸は、岩石海岸です。岩石海岸では、波の侵食作用により、海面付近に、波食棚(ベンチ)、波食窪(ノッチ)、海食洞などが形成されます。その後、断層活動などにより海岸が隆起し、海水面付近でできたこれらの地形は、波の作用のおよばない高い位置に持ち上げられます。
越前岬の波食地形1
越前岬の波食地形2
▲越前岬付近にみられる波食窪と波食棚
(山本提供)
 越前海岸では、標高3〜6mの平坦面が広く分布しています。
 写真の波食地形も海水面より6m程高い位置にあるものです。
 かつて、波の侵食作用で海水面付近にできたこれらの地形が、地震で隆起したものです。
穿孔貝の巣穴
▲ 穿孔貝の巣穴の位置
 海面から平坦面までの岩をよく観察してみましょう。ウニや穿孔貝の巣穴が見つかります。写真の穴と貝は、昔、海中で岩に穴をあけてすんでいたトマヤガイとその巣穴です。
 海にすんでいた貝が、現在の海水面より数m高い位置に見られることは、当時に比べ海岸が数m隆起した証拠です。

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