ダーウィン 性淘汰について (1)

性淘汰のしくみ


子供を残すのがたいへんなのはどっち?

なぜ、オスはオスどうし、たたかわなくてはいけないのでしょうか? どうしてメスがオスをえらぶのでしょうか? そのナゾをとくカギは、自分の子供を残すための「たいへんさ」にあります。

動物の多くは、メスが卵をつくり、育てます。卵をうんであたためたり、うまれた子供におちちをあげるのは、たいていメスの仕事です。いっぽう、オスが自分の子供を残すには、精子をメスにあたえるだけですみます。精子は卵にくらべると小さく、つくるのはかんたんです。このように、メスの方が自分の子供を残すのに時間も栄養もかかります。すると、メスはどんなオスでも受け入れる、というわけにはいきません。オスにくらべてメスは一生のあいだにのこせる子供の数が限られるため、相手となるオスはしんちょうにえらばなければなりません。

逆にオスの方は、子供を残すのに手間はかからないため、できるだけたくさんのメスにプロポーズしようとします。しかし、卵をあたためたり子供を育てているさいちゅうのメスもいるため、すべてのメスがオスを受け入れられるわけではありません。

そのため、オスはあぶれてしまい、メスへのプロポーズをめぐってオスどうしのあらそいがうまれます。いっぽうメスは、プロポーズをしてくるたくさんのなかから良いオスをみきわめ、えらぶ立場になるわけです。


オス
メス

子供を残すために使う栄養
精子
少ない

多い
子供を残すために使う時間
交尾したらおしまいなので
短い
交尾から抱卵、子育てまでかかるので
長い

ある時点で交尾できる
個体の数
いつでも交尾できるので
多い
子育ての最中などは交尾できないので
少ない
→プロポーズはオスからメスへ
交尾する相手をめぐる
同性内の競争
相手が少ないので
オスどうしの競争が
はげしい

相手が多いので
メスどうしの競争は
はげしくない

→オスにツノやキバ
交尾する相手を
えらぶ時の慎重さ
時間・栄養に余裕があるので
慎重になる必要はなく
手当たり次第にたくさんのメスと交尾するのがよい
時間・栄養に余裕がないので
相手を慎重にえらぶ
必要がある

→メスのえり好み

「オスどうしのたたかい」や「メスのえり好み」は、動物の世界に共通する「法則」といえるでしょう。しかし、この法則はすべての動物にあてはまるわけではありません。メスどうしがあらそったり、メスがオスにプロポーズするという種もあります(「女はつらいよ?子供を残すたいへんさ」を参照)。このような種では、オスが卵をあたためたり、オスが子育てをするため、オスの方が相手をえらぶのにしんちょうになります。その結果、メスどうしがオスをめぐって競争することになるようです。つまり、子供を残す「たいへんさ」こそが、プロポーズにむけてのあらそいや立場を決めるカギなのです。

性淘汰のしくみ 性淘汰理論をうみだしたチャールズ・ダーウィン
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特別展「どうぶつたちのプロポーズ大作戦!!」電子図録
(C)2004 福井市自然史博物館