海流の贈り物拾ったよ!   

漂着タコブネ発見

漂着タコブネ  

 写真のタコブネは、ジュニア自然教室の「漂着物さがし」の時に、会員の村上仁美さんが見つけました。この教室では、漂着物さがしを三里浜で数回実施していますが、タコブネが見つかったのは初めてです。拾ったタコブネは、殻の径が約6?で、表面の色は薄い黄褐色、弱い突起のある側面の部分はこげ茶色です。


 タコブネは、通常インド洋などの暖〜熱帯海域に生息していますから、村上さんが見つけたタコブネは、死んで殻だけになってプカプカ浮いて三里浜まで流されてきた個体だと思われます。漂着タコブネの収拾率は低いと言われ、村上さんは、本当に貴重な贈り物を拾ったことになります。


 ところで、タコブネはイカやタコと同じ頭足類の仲間ですが、貝のように殻をもっています。頭足類は大昔、硬い殻をつけて柔らかい体を守っていました。例えば、アンモナイトがそうです。しかし一方では、“硬い殻で身を守るだけが生きる手段ではない”と考えたのか、殻を脱いで身軽になり、素早く移動できるイカ・タコの仲間が現れました。


 でも、タコブネ(他にオウムガイやアオイガイがいます)は“やっぱり、硬い殻で身を守った方が安心だ”と思ったのか、殻をもった頭足類として生き残っている生物です。

梅田美由紀(うめだ みゆき:博物館学芸員)


 

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