11月の天文ニュース

2001年しし座流星群、未曾有の出現(11月19日未明)!

*11月のみどころ


 アンドロメダ星雲(M31)は230万光年の彼方にある銀河で、われわれの天の川銀河の兄弟銀河です。望遠鏡でも星雲の外側の腕は見えませんが、中心は茫洋とした形で見えます。同一視野内に伴星雲M32も入っていますので注目しましょう。

プレアデス星団は、昔から「すばる」と呼ばれて知られる散開星団(M45)で、「おうし」座にあり、410光年の近さです。若い青い色の星からなっていて、いくつかは肉眼でも数えられます。

プレアデスの下にはアルデバランと一緒に、環の拡がった「土星」が上がってきます。時間に余裕がある場合は、20cmで観望できるかもしれません。


11月19日未明
    2001年しし座流星群、未曾有の出現!


19日の未明、しし座の方向から全天に向けておびただしい流星雨が見られました。明るく長い流星から細かい流星まで、ピーク時には絶え間なく流れ、。暗いものまで含めるとピーク時に一時間に5000個以上の流星が見られました。

全国的に好天に恵まれ、観望されたようですが、福井県でもちょうど夜半から朝方まで晴れ間が多く、あちこちで歓声が上がったようです。福井市自然史博物館に寄せられた情報によると、嶺北では武生、福井、松岡、坂井、金津、芦原、三国など殆どの地域で観望されたようです。しし座の東から顔を出す午前1時頃から、明け方まで間断なく流れていました。とくに2時半ころに第一回目のピークが来て、また3時5分ころから45分ころに掛けて二回目のピークが来ました。


この二度のピークは前もって話題になったアッシャーさんの予報通りでした。これで長い間不可解であった「しし座流星群」の現れる機構が解明されたことになります。もともと「しし座流星群」は33年周期のテンペル・タトル彗星を母天体にしていることは知られていましたが、これまで必ずしも母天体の軌道と地球の軌道の交わる日時に出現するとは限りませんでした。

この違いはアッシャーさんなどが、単純に彗星の軌道との交差ではなく、過去の彗星の遺したダストとの出会いによるものではないかという考えにたって、過去のダストが木星から引力(摂動)の影響によって軌道からどのようにずれているかを算出し、今度の予報に至ったものです。したがって、予報の的中はこのモデルの正しいことを意味し、同時に、このモデルによって今後しばらくは今回のような大出現は日本では望めないほど今回のブレークは珍しいものだったことも判ったわけです。


以下は、イギリスの天文学者、デイヴィッド・アッシャーさんの予報について。

今年は日本時間で
11月19日 2時31分ころ、と 3時19分ころ
に二度ピークがくる。

しかも日本がその観測に最適の条件を揃えています。ヨーロッパからも極東に観望のために出かけてくるという話もあります。アッシャーさんは、新しい理論により、1999年と2000年に出現時を予言し、ほぼ的中しましたので、今年の予報も注目されているわけです。ただ、どれほど多くの流星が出現するかは予報が難しいようですが、3時20分ころの後の方が多いようです。ただ、流星は突然多く出現するのではなく、ピークをはさんで一時間ほどは絶え間なく流れますので、19日未明は四、五時間空を眺め続けることになります。


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