太陽黒点−第23期の活動はピークを終えたか?
 
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 太陽の活動は11年周期で増減を繰り返すことはよく知られています。2000年から太陽の活動は第23期のピークにあって、話題になってきましたが、そろそろ減衰しはじめるのでしょうか(2001年10月10日記)。

● 太陽の活動と「黒点」
● 極大期は過ぎたのか?
● 巨大黒点出現!
● 2001年9月26日にとらえた太陽黒点


● 太陽の活動と「黒点」

太陽黒点1(2001/9/26) 太陽は地球から望遠鏡でその表面活動を直接観測できる唯一の恒星ですが、その活動の貴重な手がかりとなるのは太陽表面に現れる「黒点」で、1611年にガリレオによって観測されたことに始まります。その多さ、少なさを表すのが「黒点相対数」といわれるもので、1848年にスイス・チューリッヒ天文台のJ. R. ウォルフによって考案され、いまも使われています:相対数Rは

       R=10g+f

 (gは群数、fは黒点総数)で表されます。

 この相対数の変化を調べて、活動が約11年の周期で増減を繰り返していることが分かったのです。

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● 極大期は過ぎたのか?

 現在は2000年あたりから第23周期のピークにあります。2000年の7月に R が300を越えたのが最大で、その後200前後に落ち着いてきています。したがって、そろそろ極大期は過ぎたのではないかという観測も出ています。

 しかし現在でも肉眼で見ることができる−もちろん濃いNDフィルター(天文用サングラス)を使わなければいけません−ほどの巨大なK点(肉眼黒点)がしばしば現われ、またフレアと呼ばれる激しい表面爆発現象が太陽観測衛星(SOHOなど)により次々と報告されています。フレアは地球の電離層に影響を与え、電波障害などを引き起こしています。オーロラの発生が頻繁に報告されているのもこのためです。

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● 巨大黒点出現!

 太陽活動が下降気味なのは確かでしょうが、それでも2001年の3月末には1991年以来十年ぶりという巨大なK点が現われました。4月はじめにはこの黒点領域から大規模なフレアが発生して、成田空港などで電波障害を引き起こしたほどでした。その後6月下旬、8月下旬とほぼ二ヶ月おきに肉眼レベルの大型黒点が出現していましたが、9月の末にもまたまた大型黒点が出現し、24日には大規模なフレアを発生させ、デリンジャー現象(電波障害)が起きました。

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● 2001年9月26日にとらえた太陽黒点

太陽黒点2(2001/9/26)  太陽黒点写真(2001年9月26日撮影)

 福井市自然史博物館の屋上天文台では20cm望遠鏡を使って、2001年9月26日に太陽表面の中央を通過中の黒点群の詳しい姿を写真にとらえています。いくつもの黒点がありますが、それぞれの中央の黒い部分が「暗部」と呼ばれるところで、その周辺に薄い筋状に噴出しているように見える部分を「半暗部」といいます。複雑に入り組み、広がった半暗部の特徴が見られます。(見出しの小さい方の像は部分拡大です)。

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